津波

  波というのは、山と谷があって、周期的に寄せては返すものと思う。防波堤は山の高さより高ければ防げる、多少乗り越えられても、被害はすくない。
大潮というのは、月の引力により海面自体が上昇する現象。力学の問題で、高さは予測でき
る。台風との複合効果も充分予測可能である。
東日本大震災のとき、東北沖で縦横数百キロの面積で海底が 30㎝ 上昇したという。このとき持ち上げられた海水が、四方八方に流れていった。これが津波の始まりだと思う。膨大な体積の海水が、おすなおすなで海岸線に押し寄せてくる。これを防波堤で食い止めることができるのであろうか。

津波は、「波」という文字がついているが、実際には山と谷があるわけでなく、寄せては返す波のイメージとは大きく異なる。冬山の雪崩を水平にしたようなものではないか。前が止まれば、後ろはそれを乗り越えて堆積する。後続は止まる、もしくは引き返すことはできない。だから 10mの津波を 10m の防波堤では食い止められないのではないか。

別の視点に立ってみよう。防波堤を乗り越えて海岸から何十キロもの距離まで、十メートルも
の厚さで押し寄せた海水の総量を考えてみよう。この膨大な海水の体積と押し寄せるエネルギーの総量を海岸線という「線」で食い止めるためには、どのような「防波堤」が必要なのだろうか。

しろうと考えで思い違いもあるかもしれない、自身では何も対応策が浮かばない。しかしこの疑問に答えがあるのだろうか。今後の地震対策として防波堤の整備を計画している自治体は多いし、原子力発電所も予測される津波の高さの堤防を築いて「よし」としていないか。大規模な災害は人の生涯よりも長いスパンでやってくる。未曾有の災害の現象を、想像力の限りを尽くして分析し、未来への遺産として残さなければならない。

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2013.6.15.記