山の時刻

book-04「山の時刻」 

田淵行男   写真集
朝日新聞社 1967

目 次

Ⅰ  黎明の山
Ⅱ  朝の山
Ⅲ  昼の山
Ⅳ  午後の山
Ⅴ  黄昏の山
Ⅵ  夜の山
Ⅶ  付録

2010.7.  59才

  田淵行男は1951年(私の誕生年)「アサヒカメラ臨時増刊 田淵行男 山岳写真傑作集」でデビューした。46才。1989年 83才で没するまで30編を超える著作がある。山岳写真だけでなく、高山蝶の生態を研究し学術的にその全容を解明し(「高山蝶」1959年)、また、ギフチョウ・ヒメギフチョウ、アシナガバチなどの生態写真集、残雪にまつわる民俗学的な研究から、「雪形」1981年を発表。ガイドブックから山岳写真論まで、その著作は多岐にわたる。

山岳写真集としては、「山の時刻」1967年、「山の意匠」1971年、「山の季節」1969年の三部作が代表作である。山岳写真に取り組んでいる私にとって、最も大切にしている写真家です。残念なことに田淵行雄の作品集は、そのほとんどが絶版になっていて古書としても入手難です。現在では生誕100年に東京都写真美術館を記念して発行された

「ナチュラリスト・田淵行男の世界」  山と渓谷社  2005年

により、全貌を知ることができる。長野 豊科に田淵行男記念館がある。

とかく風景写真は「きれいな」写真となるか、厳しい天候の中「抽象画的な」写真となる傾向がある。田淵行男の場合は、自然環境に身を置き、自然のうつろいを素直にうけとめ、的確に画面に写し取っている。私もそのことを心がけてはいるのだが、自然を見る眼の深さが、まだまだのようである。深く反省。

2013.3.10.記
2014.3.3.追記