指数関数

追記 2020.4.24.

この項の「指数関数」の内容については、補足する必要はないと思いますが、昨今の新型コロナウイルスの報道を見ながら、追記が必要と思いましたので、思うところを記録しておきます。

まず、感染者の数の発表ですが、これは限られた条件の中での報告であることを認識しておく必要があります。クラスターの追跡のための検査と、医師からの重症者の病因確認のための検査、そして、感染者の回復・退院の確認のための2度の陰性確認がほとんどです。検査総数は、東京ですら500~1000くらいと聞いています。クラスター関係の陽性者数は3月頃から一定数を保っていますので、クラスターつぶしは限界に達しています。実際の感染者数は、この数倍から数十倍と見込まれます。(決して500を超えることはないでしょう)

手掛かりは、死亡者数です。これは実数が報告されていますので、海外での新型コロナウイルスの死亡率から逆算することにより感染者数が推定されます。この指標も10日ごとに2倍になっている傾向を考えると、30日後には8倍となりそうです。

 

この「追記」の目的は、実は、全く別件の事象に対する警鐘です。

 

中国やイタリア、東京の感染者の累計のグラフは、残念ながら見事な指数関数のカーブをたどっています。こうなっては、人的被害をいかに収めるかが課題となっています。特効薬やワクチンの開発、予防方法の工夫が急がれています。しかし、冷酷な言い方になりますが、経済的な損失は時間が解決します。人的な損失は長い時間がかかると思いますが、次世代の課題となります。でも、人類は生き延びられると思います。指数関数のカーブの、いかに早い時期にストップをかけられるかで、悲惨さの程度が抑制できます。

それに引き換え、例えば温暖化の問題は、指数関数のグラフのまだまだ初めの位置にあります。しかし、指数関数のグラフ上を着実にたどっています。そして、もっとも危険なことは、気づいたときには、拡大を止める手段を、人類は持っていないことです。一つだけ具体例を挙げましょう。極地の氷が減少してきています。現在、減少しながらも地球の温暖化を緩やかにしています。しかし、いったん、これらの氷が無くなり、地表や海面が現れた時、急激な温暖化が進行します。これらの流れをくい止めるための時間は、ほとんどありません。どのように科学が進歩しても、地球規模の気候の変化を左右できる力は人間にはありません。

 

いくつか、方法は考えられると思いますが、いずれも困難な課題です。

 

間に合えばいいのですが・・・以上「追記」

 

以下、「指数関数」本文

 

「成長の限界」「地球温暖化」などについて論じるとき、指数関数の理解が不可欠です

学校では、高校の2・3年で学習するのですが、その詳しい性質について理解を深める余裕もなく、卒業してゆくのが実情です。現代社会を理解するうえで、不可欠の概念ですので、多少数学的になりますが、この項を立ち上げます。「成長の限界」「地球温暖化」については OPINION の項で扱いますので、そちらをご覧ください。また、マルサスの「人口論」で「幾何級数的」という言葉が使用されていますが、ネットを参照すると、誤解が多いようなので、この項の最後に私見を付け加えておきます。

なお、数学的な記号で

”^” の記号は、 23=2××2=8 2を3回掛ける記号です

2^x は2をx回掛けるという記号ですが、xは 0.5 でも -1.5 でも定義されます。詳しい解説は省略しますが、一般的には ”自然数” と考えて理解しても不都合はありません。

さて、本題に入ります。まず、グラフですが、( y=2^x のグラフです )

(余談)とんちの一休さんが殿様にご褒美を求めた時、「将棋盤の1マス目に1粒のお米、2マス目に2粒、3マス目に4粒、4マス目に8粒、・・・、81マス目まで続けてください」とか。計算すると、25桁の数になります。メガが7桁、ギガが10桁、テラが13桁の数ですが、25桁とは気の遠くなるような数です。

さて、一般的な指数関数の特徴ですが、xが -1 から 0、1、2、・・・と 1 ずつ増えていくとき、yの増加する値は、0.5、1、2、4、と倍々になっていきます。
一般的に、xが等間隔で増えていくとき、yの値は、同じ倍率で増えてゆきます。
この性質が、指数関数のもつ、もっとも大切な性質で、自然界の現象生物の営みの多くは、指数関数で表されます。

(例1)放射能の半減期
このグラフを左右逆に見るわけですが、例えば、半減期10年というのは、10年で半分になるということで、次の10年でさらに半減するので、20年で4分の1、30年で8分の1、になることです。
(例2)人口増加
人口増加率2%ということは、計算すると約36年で2倍になるようです。その後の36年で2倍になりますから、72年で4倍ということです。
(例3)経済成長率7%
この場合、計算すると、10年で2倍になりますから、30年で8倍になります。

さて、具体的な事例を探していましたら、最近ある銀行の投資窓口のチラシが目につきました。
(三井住友銀行「世界の歩み」より)

バブル崩壊のときの、日経平均株価のグラフです。このグラフの増加傾向が、指数関数の特徴です。
ちなみに、(2020.2.2.現在)新種コロナウイルスの感染者数が、2日ごとに倍々に増えています、解説の医者も「指数関数的な増加」と表現しています。
このような現象をいかにくい止めるか、それが可能かどうか、言葉がありません。

ちなみに、次のグラフは世界株式のグラフですが・・・

上がっては下がり、上がっては下がりの繰り返しが見て取れますが、全体的には、「指数関数的」な動向が見て取れます。この状況を歓迎するか、くい止めなければならないと考えるか、それが実現できるか、が避けられない課題のように思われます。

私の見解では、「経済成長率2%」という掛け声が、基本的な「誤り」と分析します。

2020.2.2. 記

マルサスの「人口論」について

(0)「幾何級数」は現代では「等比数列」と呼ばれています。同様に「算術級数」は「等差数列」の意です。指数関数と一次関数の関係といえば、理解しやすいかと思います。

(1)18世紀がまさに終わろうとしていた時代の出版です。都市に人口が集中して、人口も増加していた時代背景があると思います。短絡的に、1組の夫婦が2人の子供を育てると、人口が倍々に増えていく印象で、「幾何級数的」という言葉を用いた形跡があります。実際の人口増加率は、2%くらいですので、上記で述べたように、36年で倍になります。それでも倍々に増えることは同じなのですが。
つまり、時間と人口は指数関数の関係にあるということです。
また、牧師としての視点からの、人口の増加を「道徳的」?な観点に依った価値観からだったという批判もあります。

(2)一方で、食糧生産の増加が「算術級数的」であるとの根拠は、それまでの農業生産(方法)を行う限りは、人口に比例した生産量しか得られない。つまり人口と食糧生産は1次関数の関係にあるということです。(その際も人口に見合った農地の開墾が条件ですが)

(3)「幾何級数的」と「算術級数的」という言葉が新鮮で印象深かったため、「人口論」という象徴的な、「論理展開の手法」が現代まで生き残っているのではないでしょうか。

(4)時間と人口、人口と食糧生産の関係をつなげると、時間と食糧生産は指数関数の関係でなければならないことになります。そこに立ちはだかるのが、「地球の有限性」です。現代において、人口や食料、また温暖化などを論ずるとき、「地球の有限性」を解決できるかどうか、が避けられない問題です。マルサスの「人口論」に代わる論理が必要とされています。

2020.2.3. 記

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