PCR検査

 

2020年7月23日

かねてから、PCR検査が普及しない理由が不明であったが、一つの理由らしきものを伝え聞いたので、私なりの感想と推測を述べる。

(A)新型コロナの感染率を4%、PCR検査の誤判定率を0.1%として話を展開します。論理や結論に大きく異なることはないと思います。

(B)問題点に挙げられたのが、「偽陽性」です。
例として、10万人にPCR検査を実施すると、感染率4%だから、4000人の陽性者と96000人の陰性者がいるわけですが、誤判定率0.1%とすると、偽陰性4人、偽陽性96人が発生することになる。
この中で、4人の偽陰性は検査の網をくぐり抜けて市中へ出るわけですが、10万人で4人なら、仕方ない?。しかし、96人は2週間隔離され、行動の自由を奪われることになる。厚生省はこのことを気にしている。

(C)その背後に、過去のハンセン病のトラウマがあるそうです。そのため、PCR検査を広い範囲の市民に行うことに躊躇している、というのです。誤診・隔離・裁判・・・

(D)ならば、4092人の陽性者(4000-4+96 無症状の人のみで良い)を再検査すればよいだけの話ではないのか。2度続けて偽陽性である確率は限りなく0に近い。裁判で責任を取らされる心配は、ない、といえる。逆に、そのような理由から、新型コロナの感染を唯々諾々と見過ごしているとしたら、それこそ、責任問題である。

(E)ここから、この文章を書いた、私の本音。
PCR検査の誤判定率、0.1%は実際そうなのか。という疑問である。そもそも、ウイルスの存在を検査・判定する際の、有効性を調べる実験はどのようにして行われたのであろうか。
私であれば、ウイルスの濃度の異なる検体を多数作って、どの程度の少数のウイルスが検出できるかの限界を調べることに努力する。ウイルスが数個しか無い検体でも検出できるかどうかが勝負である。ウイルスが1個も入ってない検体は、確認のために作るかもしれないが、「保険」である。
実際の新型コロナの報道を聞いていると、鼻の粘膜か、唾液か、などとウイルスの濃さが検査の有効性に影響していて、数個でも長時間培養して、陽性の判定ができると聞く。となれば、「偽陽性」の可能性は、人為的ミスを除いて、無いのではないか。「偽陰性」の可能性はのこるものの、PCR検査の誤判定の心配は霧消するのではないか。

(F)Bの議論は、国の分科会で出た話で、TVニュースで紹介されたが、コメンテータも疑問を呈さなかったので、ここでの注意を喚起しておく。
私にできることは、ここまで。

追記  2020年8月6日

(A)PCR検査の信頼性について、新しい情報が入りました

(B)偽陽性については、数万件に1件程度とのこと。(私の推論通り)

(C)判定の信頼性は、70~90%、(上記では99.9%とした)を採用しているようですが、日本ほどの現場の技術力があれば、信頼性は90%は越えて、許容できる誤差の範囲と考えられているようです。検査技師の技術力を加味した信頼性だったようです。(99.9%としたのが上記推論)

(D)専門家委員会・小委員会などで、いまだに70%という信頼性の数値がまかり通っているのはなぜでしょう。感染症学会の縄張り争いという勘繰りがささやかれていますが、「まさか」です。これに固執する「専門家」を厚生省が集めているのでしょうか。緊急時に、学問的な論理以外のことを考慮しなければならないとしたら、寂しいことです。

追記  2020年8月25日

(A)PCR検査を広げることに関する賛否について

(B)論点その1:検出精度
8月6日の追記(上記)もありますが、たとえ70%を採用するとしても、例えば1万人調べて、50人の陽性者が含まれていたとして、35人は陽性と判定されるが、15人は偽陰性として見過ごされる。この時、15人が陰性と認識して、感染を広げるという。しかし、このことを問題点とするなら、検査しないことのために、50人の陽性者がノーマークで社会生活を続けることになることになる。検査すれば、その集団の感染拡大率を 30%(50/50→15/50)に減少させることができる。

(C)論点その2:患者数の増加
検査範囲を広げれば、当然陽性者は増加し、隔離・保護の人数が増加するのは当然である。その人たちの施設の収容能力が少なく、医療を圧迫することを理由に検査範囲を狭めるべきであるという論理がある。これはまったく逆で、政府が収容能力を拡大する努力をしなかった結果であり、それが間に合わないとしても、今の日本人の動向を見ると、自宅待機としても陽性判定を受けた患者がそうそう無茶な行動をとるとは考えられない。国民を信頼して、最善の対策を工夫すべきである。陽性者を野放しにして、クロスターを追跡するだけでは、決して収束はしない。
感染を、後ろから追いかけるだけでは、収束はない。感染の勢いの前に回ってくい止める努力をしなければならない。

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