あ そ び
こどものころに、電車の切符に印刷してある数字で 10 をつくる 遊びがあった。 たとえば1234 ならば 1+2+3+4=10、 2345 ならば (2×5)÷(4-3)=10など、使ってよいのは 四則算法と括弧。実は、1 から 9 までの 異なる4個の数字 ( 9C4=126通り )すべてで10 をつくることができる。このことを最初に教えてくれた人物は、むちゃくちゃ忙しいはずの中堅証券マンで、たしか60時間くらいかかったという、とくに、最後の1組には10時間くらいかかった、という話だった。 この話をすると、必ずといっていいほど、「その最後の1組って、なに?」という質問が返ってくる。ごく自然な反応である。 この話題に関して、指摘したい点がいくつかある。 科学というのは、「なぜだろう」という素朴な疑問から始まる。しかし、答えが出るかどうかも分からないようなテーマを、徒労に終わるかもしれない恐怖をかかえながら、最大級の努力を続け、解決に至る。科学者にとって欠くことのできない態度であろう。答えがあることを知らないで、最初に最後の1組を解いた人はすごい。 むかし、ケネディ大統領が「60年代の終わりまでに人類を月に送る」と宣言し、69年の終わりごろ達成した。答えがあることを確信できたのだろう。あとは努力のみ、時間の問題だった。 |