#15-26⑤

タイプ違いの生じた理由(推論)

タイプ2の版を構成する作業の中で、起こった変化の理由を推論してみました
これも、趣味の楽しいところだと思い掲載します

(印面の寸法を測るのに PXL という単位を使いました)
(理由と意味についての詳細は、このページ末尾をご覧ください)

第1段階

文字が逆に加刷された様子から、版組は
上図の 170PXL の幅に活字が組まれたと推測しました
これは、他の逆刷の文字の部分と一致します
もちろん、その上下に「余白」があるものと思われます

第2段階

上段の文字部分と下段の2本線部分の距離は
タイプ1 と タイプ2 で共通です

第3段階

タイプ 1 タイプ 2

上段の「POCZTA POLSKA」の文字と一本目の横線の距離がそれぞれ
120  90
2本目と3本目の横線の距離はそれぞれ
150  180
これらの合計は それぞれ 120+150=270  90+180=270
となり、一致します

以上のことから考えられること

(1)100面シート分の大きな台に、下段の2本の線は固定されていた
(2)中央の2本線と文字部分が、(1)に組み込まれた
(3)この時、中央の2本線部分の上下を逆にしてしまった(実際は左右を逆にセット)
そのことにより、TYPE2が生じた

これらを総合すると(TYPE1の場合)

(1)文字列の170PXLの上下に 15PXL の余白がある(茶色・Aの部分)と考えると
(2)中央の2本線の上部に105PXL、下部に75PXLの余白がある(緑色・Bの部分)ことになり
(3)下部の2本線の上には75PXLの余白があることになる
これが、大きな台に固定されている(オレンジ色・Cの部分)

中央の2本線の部分を逆転すると(TYPE2)

(1)文字列の170PXLの上下に15PXLの余白がある(茶色・Aの部分)
(2)中央の2本線の上部に75PXL、下部に105PXLの余白がある(緑色・Bの部分)
(3)下部の2本線の上には75PXLの余白がある
これが、大きな台に固定されている(オレンジ色・Cの部分)

タイプ 1 タイプ 2

上記の推測に関する問題点

(1)実は(1)の15PXL は便宜上の値で、90以下なら上記の推論は可能です
(2)その際は連動して、他の余白も異なる値に変化します
(3)実際 A B C の版における幅は、切手からは推定できません

さらに

最近のポーランドの専門カタログによると
2本目と3本目の線の間隔は
タイプ1 が 3.25mm タイプ2 が 4mm とあり
タイプ2の第1列(1番から10番切手)の切手のみ 3.5mm としています
測定の精度が上がって、より詳しい研究の結果と思われます

私の手元に タイプ2のシート上部のものと断定できる資料がありません
お持ちの方の報告をお待ちしています

PXL  の解説

上記のデータは、1200dpi で切手をスキャンしています
1200 dots   par  inch   つまり 1インチ を 1200の点 で表現しています
1インチ が 25.40 mm ですから 1mm 47.3 dot です
つまり 0.02 mm の精度で計測できます

切手を精密に計測するには十分すぎる精度ですが
逆に 湿度の影響や、水はがしの際の伸縮、インクのにじみ等が問題になります
今後の検討が必要かと思われます

ちなみに dot = PXL と理解してください
私にはうまく説明できません どなたかお助け下さい

戻る