「日の丸・君が代」提訴にあたっての声明

報道関係者各位

東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟提訴にあたっての声明

本日、私たち東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟原告団(「東京・君が代」裁判原告団) 173名及び弁護団は、東京都を被告として、2003年10月23日の東京都教育委員会通達(10・23通達)に基づく懲戒処分の取消と損害賠償を求めて、東京地方裁判所に提訴いたしました。

今回の原告は、2003年度周年行事・2004年3月卒業式・4月入学式で処分された都立学校(都立高校・障害児学校)の教職員で構成されています。また、173名という原告の数は、「日の丸・君が代」に関する処分取消訴訟としてはこれまでで最大規模となります。

2003年度周年行事・2004年3月卒業式・4月入学式以後も、東京都教育委員会は、周年行事・卒業式・入学式などの「君が代」斉唱時の不起立・ピアノ不伴奏などを理由として教職員の処分を重ね、現在では、延べ345名にも達しています。これに対して、私たちは、10・23通達とそれに基づく校長の職務命令を理由にした懲戒処分が、「思想・良心の自由」(憲法19条)・「信教の自由」(憲法20条)を侵害し、教育基本法が禁ずる「不当な支配」にあたるとして、処分取消を求めて、東京都人事委員会に不服審査請求を行い、人事委員会審理を進めてきました。

ところが都人事委員会は、2004年の人事委員会審理で、全請求人団体が共同で求めていた横山前教育長(現副知事)の証人尋問の実施を拒否した(2006年9月12日回答)のみならず、不当にも審理の打ち切りを通告してきました(2006年10月25日通知)。このような都人事委員会に[公正な審理]は到底期待できません。従って、私たちは、都人事委員会の裁定を待つことな<、東京地方裁判所に不当処分取消を求めて提訴することを決意し、2006年12月23日、東京『日の丸・君が代』処分取消訴訟原告団(東京「君が代」裁判原告団)を結成し、本日の提訴を迎えました。

さて、06年9月2 1 日、東京地方裁判所民事36部(難波裁判長)は、「国歌斉唱義務不存在等確認訴訟](予防訴訟)の判決において、原告の訴えを全面的に認め、10・23通達とそれに基づく校長の職務命令は憲法19条及び教育基本法第10条に違反し「重大かつ明白な瑕疵がある」ものと判じ、「『君が代』の起立・斉唱、ピアノ伴奏の義務なし」「いかなる処分もしてはならない」という画期的判決を下しました。

しかし東京都教育委員会は、この判決を無視して、これまでと同様の「職務命令」を出すよう各校長を重ねて指導し、判決後に実施された周年行事等では、例外なく各校長が「職務命令」を出し続けています。また、既に発表された来年度(2007年度)の再雇用職員(嘱託員)の採用に関しては、不起立等で処分された教職員全員を不当にも「不採用」としています。

10・23通達から4回目の卒業式が目前に迫っています。私たちは、都教育委員会が、9・21東京地裁判決を真摯に受け止め、処分の恫喝による強権的教育行政を直ちに改めることを求めます。

私たちの提訴は、恐怖と恫喝で教育の自由を圧殺してきた石原都政下での異常な東京の教育を、再び都民の手に取り戻し、教育の良心を守り抜くための闘いです。教職員・生徒・保護者・市民と手を携えて、裁判に勝利し、不当処分を撤回させるまで闘うことを改めて表明いたします。

ご支援を心から訴えるものです。

2007年2月9日

東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟原告団

同弁護団

戻る