論点の整理(2020年5月6日)
新型コロナウイルスについて、最近の報道を聞いていると、論理が錯綜して、迷走している。私なりに整理しておきたいと思う。 最初に断っておきたいのは、感染症の対策の基本は、「感染者を発見して、隔離すること」に尽きる。接触感染を避けるための「外出禁止」は、重要で効果的ではあるが、あくまで2次的な対策である。しかし、特効薬やワクチンが無い状況で拡散を止めるためには、接触状況を減らす以外に方法がないのも事実である。 日本での迷走を分析するにあたって、重要なポイントは (A)感染症に関する法令で、「全員を隔離・入院させる」ことが定められている。 (B)日本でのPCR検査の態勢が十分でなかった。 はじまりは、—- 武漢やイタリアの状況を踏まえて、すべての感染者の入院を受け入れれば、瞬く間に病床が不足し、医療崩壊を迎えることは避けられない。その状況の回避策として、PCR検査を絞って、感染者の認定を重傷者のみに限定する。そのために、「4日間自宅で過ごせ」「重傷者のみ、PCR検査を行う」ため、保健所や帰国者・接触者センターに検査前の選別を行わせた。 この段階で、政府がしなければならなかった(過去形)ことは、 (C)(A)の「入院措置」により病室が満床となることを回避するために、軽症者の自宅待機またはホテル等への収容という対策の準備をすること。韓国での成功例があるのだから、初期の段階から、やろうと思えばできたはず。 (D)PCR検査を進めて、感染者をいち早く発見して隔離すること。そのためには、一刻も早く検査量を拡張し、可能性のある患者の全員を検査する体制を整えることである。しかし、2月から4月にほとんど検査件数が増加していないことには、大きな疑問が残る。4月の終わりころに医師会が検査センターを各地に設置し始めているが、この動きを阻害していた圧力があったとしか思えない。 こうした状況のなかで、われわれが行動すべき方策を考えなければならないのだが、対策のもととなる資料が、まったく、ない。 (E)たとえば、東京都のPCR検査の感染者数の発表であるが、これはあくまでも「クラスター」追跡の結果であって、選別された対象の人たちの検査結果であって、統計資料としては甚だ脆弱なデータでしかない。その中には、入院した患者の退院のための確認検査が含まれている。また東京での検査数は、500件以下?であり、結果(当然)、感染者数は500を超えることはない。諸外国の例から、東京の人口を考慮すれば、1000件を越えてもおかしくないのが実際である。たとえは悪いが、桜を見る会の参加者で、政党支持率を調査するようなもの。 (F)そのような状況の中で、諮問委員会が答申を出すのだが、審議の内容が公開されていない。当然その根拠となる資料も基礎データも公開されていない。そして、「経済的な配慮」など、「政治的配慮」をして、政府から「総合的な判断」として政策が示されている。どのような配慮や判断がなされたか、触れられることはない。 さて、直接は関係のない私の感想を述べる。 (G) 知事さんたちの、株が上がったところと、「やっぱり、だめねー」となったところと、運命が分かれている。世界的にみても指導力のある首長は、大きな信頼を得て、成功している。知事のみなさん、腕の見せ所ですよ。世界には、独裁的な権力を行使して、収まっている国もあるが、「結果オーライ」が政治の世界だとしても、それで良いのか。まして、そのことを種に、憲法論議に結びつけ、権力を強めよう・他の条項も書き換えよう。そういう傾向は、とても危険である。そうして得た権力の行きつく先が、・・・真っ暗・・・でないか。それにつけても、野党のだらしなさ。なさけない。 (H) ついでに、この騒ぎの中、検事総長の人事がアブナイ。秋田のイージスなんとかは諦めたようだが?沖縄は、桜は、モリカケは、などなど(うやむやとなってしまった件)、政権にとっては、千載一遇の・・・となりかねない。オリンピックもあるし。 とりあえず私の「世迷言(よまいごと)」はこのあたりにしておきます。 |