産経新聞・電子版(2021.12.9)

解説:定年年齢の延長の代わりに、5年間の嘱託採用が保証された。
その後、10.23.通達などがあり、教育委員会は処分者は再雇用しない方針。
最高裁は、「一旦退職した後の再雇用であること」を理由に合法とした。
教員側にとってみれば、1回の不起立で5年間の再雇用が拒まれる。
そのため、反対運動は大幅に縮小した。

注:原告名を***としました。記事は実名です。

 

大阪府立高校の入学式や卒業式での君が代斉唱時に起立しなかったことによる懲戒処分歴がある元教諭の男性が、定年退職後に再任用を拒否されたのは違法として府に約550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9日、大阪高裁であった。本多久美子裁判長は男性の訴えを棄却した1審大阪地裁判決を変更し、再任用の不採用は府教育委員会の裁量権の逸脱や乱用にあたり違法として約315万円の支払いを命じた。 男性は、平成29年3月まで府立芦間高で教諭だった***さん(65)。過去に2度、君が代斉唱時に起立せず職務命令に違反したとして戒告の懲戒処分を受けたことがあった。同年4月以降の再任用を希望したが府教委での選考の結果、不採用となった。 1審判決は再任用についての府教委の裁量を広く認め違法性はないと判断。一方、高裁の本多裁判長は判決理由で、体罰事案で***さんより重い、減給での懲戒処分歴がある教諭の再任用が認められているとして、「過去の懲戒処分の軽重と再任用の結果が逆転し、合理性を欠く」と指摘。また、再任用希望者は99%以上が採用されているという府教委での近年の実情などを踏まえ、「不採用の判断は裁量権の逸脱や乱用にあたり違法」とした。 一方、再任用の選考前に上司から、君が代斉唱時の起立などの職務命令に従うかどうかの意向確認を受けたことに関し、思想や良心の自由を侵害され違憲だとした***さんの主張については「憲法違反とも違法とも認められない」と退けた。 判決後、会見した***さんは「主張が認められたことをうれしく思う」と話した。一方、府教委の橋本正司教育長は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」とコメントした。

 

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