争点10

(10)「処分」について

10.23通達は、校長に向けての職務命令ですが、その中に、
「国旗掲揚及び国歌斉唱の実施に当たり、教職員が本通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われることを、教職員に周知すること。」
という一項が付け加えられています。具体的に行われた処分は、
 –
1回目 戒告
2回目 減給10%1月
3回目 減給10%6月(のちに3月に短縮?)
4回目 停職1月
5回目 停職3月
などとされ、それぞれに「勤勉手当削減」「昇給延伸」などが伴います。昇給延伸は退職まで影響するので大きな損害になります。
このように、回を重ねるごとに処分が重くなることを「累積加重処分」といいます。
 –
最高裁は最初の一次訴訟の判決から減給以上の処分は裁量権の逸脱・濫用を認め、処分を無効としました。
また、毎年の入学式・卒業式等で短期間に停職・免職の処分が繰り返されることを指摘し、処分基準の問題点も指摘されました。
(ちなみに、東京都には処分の量刑を定める基準が無く、”適宜”、”さじ加減”で処分が行われていたようです。)
同時に、減給以上の処分を選択するためには、その「相当性を基礎付ける具体的な事情」が必要であるとされました。
東京都は、その後2回目・3回目の不起立の場合に対しては戒告処分にとどめていましたが、4回目から減給処分としました。
このことについて、現在進行中の四次裁判で、東京地裁は裁量権の逸脱・濫用と認め、処分を無効としました。東京都が控訴し高等裁判所で争われることになりました。
再処分
東京都は、裁判で減給以上の処分が取り消された原告に対して、「再処分(戒告)」を行っています。裁量権の逸脱・濫用に対する謝罪をするどころか、最初の処分から5年も6年もたった今、改めて処分を行っています。これも、人事委員会への不服審査請求を経て、裁判で争われることになりそうです。なお、すでに退職している原告に対しては「再処分」できないので、裁判は終了となります
再雇用拒否
一連の「不起立」を理由に処分を受けた原告に対して、東京都は定年退職後の「再雇用」を拒否しています。
それまで、定年退職後、非常勤講師等の制度を活用して、勤務日数や給与は減額されるものの、5年間の「再雇用」の機会がありました。希望する職員は、ほぼ100%採用されていました。しかし、10.23通達以降、この「不起立」の退職者に限り、採用していません。
これについて、別件で、裁判が行われています。
関連する問題