争点1

「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するということは、日の丸や君が代に対して敬意を表明するということです。それはかつての侵略戦争や植民地支配を肯定することであり、平和に生きる権利やあるいはかつて侵略戦争の時代に公然と行われた民族差別を肯定するような、そういった行為であると考えています」
「私の教員としての良心は、児童生徒に一方的な価値観をすり込んではならない。それから児童生徒の前で教員が恥じるような行為を行ってはならないというふうに考えています」
「日の丸や君が代に対して、生徒の前で私が敬意を表することによって児童生徒はそれらに敬意を表明することが絶対的に正しいものだというふうに理解します。そのことは一方的な価値観をすり込むことであり、私の教員としての良心に反するものであります」

  原告本人調書より

「本件は少数者の思想及び良心の自由に深く関わる問題であると思われる。憲法は個人の多様な思想及び生き方を尊重し、我が国社会が寛容な開かれた社会であることをその理念としている。そして、憲法は少数者の思想及び良心を多数者のそれと等しく尊重し、その思想及び良心の核心に反する行為を行うことを強制することは許容していないと考えられる。このような視点で本件を検討すると、私は多数意見に同意することはできない」
「本件通達は、式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図で発せられたものではなく、前記歴史観ないし世界観及び教育上の信念を有する教職員を念頭に置き、その歴史観等に対する強い否定的評価を背景に、不利益処分をもってその歴史観等に反する行為を強制することにあるとみることができる」

宮川光治裁判官の反対意見より

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