成長の限界

 

成長の限界 The Limits to Growth

ローマクラブ「人類の危機」レポート
大来佐武郎 監訳 ダイヤモンド社

私は芝居がかっていると思われたくはないけれども、事務総長として私が承知している情報からつぎのような結論を下しうるのみである。すなわち、国際連合加盟諸国が、古くからの係争を差し控え、軍拡競争の抑制、人間環境の改善、人口爆発の回避、および開発努力に必要な力の供与をめざして世界的な協力を開始するために残された年月は、おそらくあと10年しかない。もしもこのような世界的な協力が今後10年間のうちに進展しないならば、私が指摘した問題は驚くべき程度にまで深刻化し、われわれの制御能力をこえるにいたるであろう。
ウ・タント(元・国連事務総長)1969年

1972.21才

この本が出版されたとき、「人類の滅亡を予言した」として、大きな話題となったものである。私も学生時代であり、70年安保が収まった時期でもあり、ずいぶんと学生仲間で話題にしたものである。

一昨年、偶然に新宿の紀伊国屋書店に立ち寄ったとき、平積みで販売されていることに感動した。第一刷が1972年で、この時(2015年)で実に69刷と版を重ねている。古典的名著?
詳しい解説は、OPINION の項で扱う予定であるが、当時は、「コンピュータが予測した」という触れ込みで、物珍しさが話題となったものの、その信頼性を疑う風潮が勝っていた。のちに知ったことだが、当時「世界がもし100人の村だったら」というメールが世界中をかけまわっていたそうである。その発信者は、この「成長の限界」の著者の一人であり、子どもたち向けに行ったアピールであった。
その後「限界を越えて」(Beyond The LImits 1992年)で、限界を超えてしまった世界環境が、少しでもダメージを減らすための試みを検討。「2052 今後40年のグローバル予測」(2012年)で、40年後に世界がどのようになるかを、識者の一連の想いの報告があり、現在に至っている。
最近、地球温暖化が話題となっているが、この「成長の限界」以降の環境問題の扱いについて、本当の問題点が明らかにされていないような気がする。

2020.2.2. 記

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