そのうちに 2023.3.

最近、もの忘れが激しく、そのうちに記事にしようと温めていると、なんとなく・・・

そのうちに、まとめて、OPINION のページに入れますが・・・

というわけで、そのうちに、そのうちにと言って、毎日が・・・

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目次(日付順) 目次(テーマ別・順次作成中)

 

2023.3.31. 1100万人

①2040年の推計で、日本の労働力は1100万人不足するという。長野県では、必要な労働力の30%以上が不足するという。

②今年生まれた子供でも17歳。まだ高校生。街頭インタビューでは、「AIを使った効率化」とか、「高年齢の労働環境」とかの思い付きが語られた。いや、正確には「思い付き」くらいしか思いつかない。海外から労働力を受け入れる風土は、日本にはない。

③一方、今日発表された少子化対策と並べて考えると、政府の工夫の乏しさが見えてくる。出産費用や育休手当など、「付け焼刃」としか言いようがない。やらないよりやった方がよいが、効果が出るのは5から10年後だろうから、岸田さんが言うような「待ったなし」「喫緊」というような雰囲気ではない。

④この欄の、「2023.3.1.少子化対策」で私見を述べたが、数日後政府が同じようなことを検討していることがばれて、与野党がざわついて、まったく聞こえなくなってしまった。結婚・出産を奨学金免除という「エサ」で釣るのは邪道かと思うが、即効性のある緊急対策としては有効だと思う。むしろ、他に方法が無いように思う。マイナカードをあの手この手で普及させようとした「なりふり構わない」同じ政府とは思われない。

⑤2040年といえば、私が人生90年と決めた直前の年で、無事に生きていられたらどうなるのであろう。「楽しみだ」などと言っている時ではない。

2023.3.30. 公・私教育の関係②

①「2023.2.1. 公・私教育の関係」の続きを書こうとして、2か月たってしまった。モト都立高校の教師の立場から、私立高校との違いを指摘しておきたい。

②コロナでオンライン教育に目が向くようになった。私立であれば教材を作成する技術者やネットを組む人材を、専任とまではいかなくとも雇うことができる。生徒指導に関わらなければ教員免許も不要である。一方、公立高校は公務員法で臨時にしろ職員定数を増やすことはできない。ITに詳しい?教員が「片手間」に対応するしかなく、その教員の持ち時数を他の教員が受け持って軽減措置を行うしかない。そもそも校長に予算や人事の権限がないから、教育委員会が動くしかないが「動いていない」。

③むかしの話だが、生活指導の困難な学校で給与加算が行われていた県があった。新規採用の教員を他の学校で研修し、指導力のある教員をその学校に集める仕組みを作っていた。東京都では、いわゆる「僻地手当」はあるが、IT教育などの研究・実験を行う学校はない。体育や芸術の専門性のある学校はあるが、全体への波及効果はない。私立学校は「人事交流」の機会が少ないが、事務職で雇ってクラブ指導を担っている場合もある(教員免許のある教師が立ち会えばOK)。アメリカなどでは相互異動の場が設けられているそうだ。

④私立学校は元来「理想とする教育」を目指して設立された学校が多い。その校風にあこがれて入学した学生も多い。しかし最近は、中高一貫校がもてはやされ、有名大学への進学率を競うようになり、中学受験までもが激しくなるようになった。教育の目的が「有名大学への受験」に絞られれば、システムを考えるのは容易である。
半世紀前の学生運動が活発だったころ、高校生だった私たちは「受験のための授業」をきらい「考え方の授業」を要望していた。印象に残っているのは地理の授業で地球の大気の流れから地球上の気候や生態系・文明まで説き起こしていく過程に感動した。

⑤進学を目標とすれば、私学は圧倒的に強い。人材や施設は授業料として徴収できるし、塾や予備校がそれを補強している。国は私学の授業料を補助し公立大学の授業料を上げている。高校段階でも、予算は少なく、融通が利かない。国が少子化対策で教育予算をいくら配っても、「焼け石に水」状態。

⑥愚痴ばっかりになってしまったが、どうも入試制度に根源的な原因がありそうだ。どのような国民を育てるか、それが問題。

2023.3.27. 最善手

①将棋の王将戦・第4局の解説を聞いた。決定的な場面で羽生さんがAI 予想の4番目の推奨手を選び、藤井さんが長考し、結果敗れた。1番から3番までの推奨確率?が50%で、4番目の手は49%であった。50:50か49:51なのであろうか。

②「五目ならべ」というゲームがある。もし「4目ならべ」なら「先手必勝」。「6目ならべ」なら勝負はつかない。

③「将棋」は手数が多く、さまざまな態様があるから、「先手必勝」はありえない?。でも、将棋の神様が存在したら、どうなるのだろう。「もし、将棋の神様が居たら、何をお願いしますか」と問われて、藤井さんが「ぜひ、お手合わせ願いたい」と答えたことが興味深い。将来AIが進化して、「必勝手」を見つけたら、将棋文化は壊滅する。羽生さんが「人間でなければ指せない将棋、というものがあるはずだ」と考えているという話である。

④AIが推奨する最善手なるものが、何手先まで検討しているのかわからないし、「最善」の価値判断の基準も難しそうだ。その先は、ということを検討していないだろうから、最善手50%もあまりあてにならない。それを頼りに研究している人は、所詮AIを越えられないだろう。今回の王将戦・第4局はその意味で天才と天才の対決だったようである。
(私の考えでは、AIは価値判断ができないので「無難な結論」がせいぜいだと思っている。)

⑤以前、この欄で紹介した「8石5目」(2021.12.18)は当時の数学科での検討では必勝手は見つからなかった。意外とおもしろいゲームかもしれない。

2023.3.26. バック・グラウンド

①2023/3/16の続き
前回で、「読み書きそろばん」の重要性を述べたが、教育という視点から考えると次は「教養」ではないか。教養というと「上から目線」というニュアンスを感じる人もいるかと思うが、ここでは「会話に必要な基礎知識」とでも解釈してほしい。地理でいえば、都道府県の名前。理科なら花や魚の名前・星座。数学では比例などなど。

②あえて「教養」を教育の中で取り上げるのは、組織的な教育の中で「知識を蓄積すること」が重要と感じるからです。むかし「サインコサイン何になる~」という歌があったし、最近ではもと総理が「微分積分は・・・」という話もあった。一方で、戦争のため中学教育を受けられなかった夜間中学の生徒が、友人との会話についていけないと話していたことが記憶に残っている。これらの知識を体系的に能率よく身につけるには、ITは役立つと思う。義務教育で必修化する必要もありそうだ。

③問題なのは、その知識が「成績評価」として入学選抜や就職・昇進?などに使われることだと思う。その結果②で触れたようなことがおこる。社会生活に必要な知識であれば、必要に応じて・好きな分野を・より深く学習すればよい。数学が苦手でも百分率を理解できないと社会生活に支障がある。しかし、進学・就職で必要条件として良いだろうか。(「必要条件」という言葉も数学的に理解している人は少ない)

④その次のステージとして、「専門教育」が必要になる。これらは各自の必要性に基づいて知識を習得すればよい。その際必要な「読み書きそろばん」の徹底であり、関心分野に関わる基礎知識である。

⑤日本の社会で問題なのは「教養的」な知識の集積が進学に大きく影響していることで、家庭の経済的な環境が格差を招いている。「親ガチャ」という言葉が生まれる原因でもある。

2023.3.26. 掌の小説

①近所のカフェで、川端康成の「掌の小説」を手に取った。初めて見る本であった。御主人は「最近、手に入れたんです」と仰っていた。

②冒頭の「骨拾い」(5頁)を読んで、改めて川端康成の偉大さを感じた。一行一行と言わず、一文字ごとに情景が広がってゆく。むかし、「伊豆の踊子」を読んだとき、峠に着いた学生に、踊子が隣の席の座布団を裏返して促すという、少女の初々しい仕草の描写に感動したことを思い出した。

③来月末から予定している写真展「上高地・厳冬」で、私が「何を表現しようと取り組んでいるか」を挨拶文に考えていたところだった。川端康成は文章の一文字一文字を駆使して、光の輝きや人の心のうつろいを、完璧に表現している。遠く及ばないのは当然だが、目標が明確になり、1ミリでも前進したいという、気持ちを新たにすることができた。

④話変わって、知人の写真教室の生徒さんの作品展を参観して、思うところがあった。「撮る」という作業は、何かを「美しい」と感じたとき、「美しさ」を写し取って表現し、見る者に伝えることと思う。最近は「ばえる(映える)?」写真が跋扈し、若者の新しい「共通言語」になっていると私は分析している。これから表現の繊細さが研ぎ澄まされていけば、いままで「言葉・絵画・音楽など」で表現していたものに新しい手法が加わっていくのかもしれない。

⑤なかなか就いていけない「老人のたわごと」にならないように気を付けたい。

2023.3.23. 地球4個半

①世界中の人々が現在のアメリカ人と同等の暮らしをすると、地球4個半の資源が必要になる。十数年前は2個半だったように記憶していたが、総人口が増加したのかアメリカ人が豊かになったのか、分析してみるのも面白そうだ。未来予測が悪化していることだけは間違いない。

②十数年前、私が初めてこの数値を知ったとき、もちろん地球は1個しかないし、途上国に「豊かになるな」とも言えないし、先進国に「発展を止めろ」とも言えないし、結局「静観」するしかない。そんな思いの中、事態はさらに悪化しているようだ。

③でも、「科学技術が発達して」とか「新しい資源が見つかって」とか、根拠のない「未来」の話になって具体的な対応策は持ち越しとなる。 この話は「平和」を議論するときの話の流れと似ている。「核」や「内紛」、最近では「資源」「食料」などの安全保障が解決の方向に向かっての話し合いが棚上げされて、「隣国が軍備を」とか「資源の囲い込み」とかの議論となり、「平和」そのものを達成する「必要性」が語られることがない。

④私が20歳のころ、同じ下宿の文学部の学生にこの問題を投げかけたところ、「原因が何になるかはわからないけれど、数百万人程度の死者が出れば考えるようになるだろう」と返事が返ってきた。理科系の私は、破局を避ける方法を必死で考えていたが、文科系の彼は人の心理を考えていたようだ。半世紀も前の青年の会話であるが、人類は「変わっていない」ことが残念でならない。

⑤地球1個で人類が生き延びれる方法はあるのであろうか。核戦争や地球温暖化などより、もっと悲惨な現実が眼前に迫っていると思う。心理学者は「都合の悪い現実から、目を背けることで、身を守るようにヒトはできている」そうだ。ウサギはライオンに食べられる前に気絶するという。

2023.3.16. 公文式

①「公文」という言葉に様々な意味づけがあると思うが、私流に。

②「読み書きそろばん」という言葉がある。読んで書いて考える。そして計算力。現代だとIT操作能力が加わるだろう。社会生活の土台を支える能力だと思う。そう考える時「公文式」と呼ばれる「幼児教育」の手法を普及?することが有効だと思われる。

③コロナで学校が休校になったとき、最も影響があったのが子供たちではないかと思う。「オンライン授業で」という声が世界中で起こったが、残念ながら、次のパンデミックに対応できそうなシステムは作られなかったようだ。

④「読み書きそろばん」というのは、基本は同じことの繰り返しと反復で、「身につける」こと。同時に大切なことは、達成度に応じた教材をあたえること。ITがもっとも得意とする分野。小学校底学年で教師が最も気を付けなければならないのは、「おちこぼれ(言葉が悪いが)」をつくらないこと。小学校低学年でテストをする場合は、平均点が90点くらいに調整することが原則。理解した子は満点ばかり。80点くらいの子を集中的に個別指導をすることが大切。

⑤このような領域の教材を、文科省は無料で配布してはどうか。3歳から9歳くらいの子に与えれば嬉々として上達するとおもう。何よりも、誰からも叱られない・誰とも比べられないことがよい。小学校の教師も、理解の遅い子に、どこからやり直せばよいか指示できる。

⑥同時に、外国人対象の日本語教材に使える。ただし、精神年齢は大人で向学心・必要性があるから、より効率的なシステムを作ることもできる。
以前、海外帰国生徒に「県の名前」を教える教材の話題が出たことがある。小学校低学年とは違った教材の開発が必要だとのことであった。

⑦専門家を集めて教材開発をする価値があると思う。

2023.3.14. 行政文書

①行政文書の意味をしみじみ考えさせられる事件である。高市さんが発言すればするほど深みに入っていくようだ。

②行政の担当者は短い任期で異動するし、政治家も明日をも知れぬ身分である。記憶にでは無く「記録」に残す重要性があり、法律作成の過程で何をどのように検討したか、しなかったか、記録の義務があると言っても過言ではない。

③高市さんが大臣の職にあったときの話。「言ってない」:字幕スーパーで「本人の感想です」と入れたい。なんの根拠もない。「見てない」:自身で見る時間が無くても秘書に確認させればよい。そのために国費が充てられている。「言うはずがない」:それは現在の発想。言った記録が「文字・文書」で残っている。「捏造だ」:大臣の職にあったときの公文書。捏造文書を見過ごすようでは失格。このあと、何を言い出すのであろうか?楽しみ?

④安倍さんの「辞職」発言のため、もみ消し???で自殺者まで出した疑問も未解決である。

⑤ことが「放送法」に関わるだけ、国政の根幹が問われる。言い方は悪いが、高市さんの進退どころで済む問題ではない。そこのところをよく理解して、野党もマスコミも、自民党自身も行動してほしい。

⑥ちなみに、学校での職員会議の記録も個人情報の問題もあり、詳細な記録を残していない。現在は「伝達機関」の位置づけだから問題は無いが・・・。

⑦あとで、なんとでも「書き換えられる」という認識の歴史観だけは捨てなければならない。

追記 : 高市さんが大臣レクなどの活動記録を破棄したというのは「たぶんウソ」。この地位にある人が、誰と会って何を話したか、記録・日記を残さない訳がない。総理を目指すなら回想録も想定しているだろうし、秘書が事細かに記録しているはず。ウソを言っていないとすれば、「見たくないものは、見当たらない」というのが心理学の定説。

2023.3.12. 汚染水(2021.4.15.の続き)

①第一の問題として福島第一原発は、常に冷やし続けなければならない。冷却に使った水は「汚染水」となり、放射能物質を含んでいるため直接、海に放出することはできない。そこで「汚染水」から放射線物質を分離して取り除き、安全な「水」(この水を「汚染水」と表現しているところがそもそも間違い)として海洋放出することになった。ここで問題となるのは、安全性と風評被害である。

②安全性については、2020.4.15.の本欄で触れたが、足りないのは政府の説明だと感じる。近隣諸国からの指摘に対しては、たとえば、相手国の原発排水と比較すれば十分だと思われる。問題は風評被害で、日本国民に広く状況を説明し、納得を得ることだと思う。そのためにはトリチウムの性格を科学的に理解しなければならない。政府は放射線量が低いとか、自然界と較べて薄いとか、「定性的」な(定量的的な)雰囲気作りばかりで説得力がない。

③先日のニュースでは、放出水で「カレイ」を養殖して放射能の影響を調べていることを報道していたが、多くの種類の魚や野菜で数年にわたって実験していれば説得力があると思う。それも、結果だけを報道するから説得力は半減する。プランクトンのような魚のエサとなるようなものも、実験すると効果的だろう。そういう意味で政府は努力が足りない。

④ついでに言えば、「地元の理解を前提に・・・」などの「空手形」が頻発されている。廃棄土も2035年度までに県外に異動するという約束もしている。このようなことが積もり積もって今があるということを肝に銘じるべきと思う。

⑤話を戻すと、トリチウムは水の水素原子が置き換わっているもので、物理的にも化学的にも水と同じ性質を持つ。だからこそ分離することが難しいのであろう。そもそも冷却に使う前の水にもトリチウムは含まれていたはずだ。

2023.3.11. 東京大空襲

①三陸沖地震といいトルコ地震といい、世界各地で自然災害が発生していて、一方ではウクライナでの戦禍が広がっている。その中で「東京大空襲」「原爆忌」の記憶が忘れ去られようとしていることが懸念される。

②現時代を生きているわれわれは、「視点の持ち方」を問われるのではないか。自然災害が起こるたびに、それを克服する努力が尽くされている。しかし、自然現象は容赦なく発生し、「想定外」の規模が起こる。しかし、戦争は人類が自ら起こすものであり、十分「想定内」として扱えるものであるはずだ。

③「自国を守る」と言って「敵基地攻撃能力」などを準備している時ではない。このようなことを書くと「理想論」「夢物語」と言われ、そこで議論は止まるが、人類か人類の力で解決できることを、「目をつむり」、大きな惨事を起こしているのは事実である。

④ホーキンスが「文明は宇宙では一瞬である」といった言葉に、人類の無力さを感じる。持続可能な文明は、あり得ないのか。

2023.3.9. インタビュー

①大谷翔平選手のインタビューを聞いた。言葉を選びながら誠実に答えていたことが印象に残った。「言葉を選ぶ」様子を聞いていると、語彙数の多さに驚かされる。これは将棋の藤井聡太さんと共通。

②以前、マルチリンガルの人へのインタビューで「(頭の中で)考える時、何語で考えるのですか」という質問があった。「考える」という行為が、大げさに言うと「ヒトを人たらしめる」ことであるとすると、豊富な語彙力を駆使して、日常的に考え・行動し・発言している様子をみると、二人の強さの根源を感じる。

③むかしから「一を聞いて十を知る」ということわざがあるが、教師をやっていると「十を聞いて二から三を知れば」優秀な生徒である。二人は、学習したことを自身の中で「意識的に」反芻を繰り返しながら、行動で表現しているように思われる。

④ソフトボール部の顧問をしていたころ、まったくの初心者が入部してきたので、「ソフトボール日記」をつけることを勧めた。レギュラーにはなれなかったけれども、3学年での出場試合で生き生きとした素晴らしいプレーを披露していた。聞いた言葉はよほど印象に残る言葉でなければ、次の行動に生かせない。日記に書きとめることにより、反芻する機会が高まる。

⑤心配しているのは、SNSにどっぷりとつかりきっている現代の若者たち。語彙力が無ければ、思考も発信もおぼつかない。考えることができなければ、言われたことをやるだけになる。

⑥もっと心配なのは、一人ぼっちの老齢者。語彙力は衰える一方だし、発信する相手がいない。思考は同じところを「ぐるぐる」旋回するのみ。周囲の皆さん、大切にしてあげて下さい。

2023.3.5. 共通一次試験

①1979年頃だったと思うが、当時の文部省が「大学入学試験を改善するために」国公立大学の受験生を対象に始めた制度である。半世紀の間、様々な変更があり現在は私立大学の利用も増えたようである。

②当初は、高校3年間に学習した内容の「基礎的内容」を理解しているかを確かめる内容であった。数学など、平均点が高く、80点以上はふつうであった。東大志望で満点をとれなかったら恥ずかしい、と言うような状況であった。2次試験では、それぞれの大学で特徴的な選抜を行うことが期待された。

③アメリカではSATと呼ばれる全世界的な資格試験のようなものがあって、受験した生徒が思わぬ高得点をとったところ、アメリカ中の名門校から奨学金付きの招待があった。その試験の内容だが、当時、英語と数学のみだったように記憶している。数学は「比例計算」程度で、日本では中学レベル、英語の問題が理解さえできれば何ということもないレベルであった。問題は英語で、帰国性の日常会話になんの支障もない生徒が「単語帳」を作って猛勉強していた。最近は物理やコンピュータなどの選択科目があるようだ。

④今日、話題にしたいのは、「どのような学生」に教育機会を与えようとしているか、である。現在の日本での大学入試は「知識」に偏り、数学でいえば「問題解法」を求めている。数学は本来「数学的分野」を表現することにあり、そのための「専門用語」と「使い方」を理解することが目的で、作られた「問題を解くこと」が求められているわけではない。歴史や経済・生物学なども知識は必要だが、問題を解明するには資料の扱いと論理的な思考が必要であることは間違いない。

⑤共通一次試験が始まってから。その後の大学の入学選抜の変化を見ていると、「逆行」しているように思えてしかたない。そのような選抜方法を設定する限り、塾・予備校が有力になり、経済的に恵まれた家庭の子女が有利になることは自然な成り行き。そして、少子化が進行するのは自明な結論。

⑥少子化対策のヒントはこのあたりにあるのではないか。

2023.3.4. 燃焼実験

①中国の宇宙ステーションでメタンガスの燃焼実験が成功したという。何が課題で、どこが成功なのかは記事からは読み取れなかったが「思考実験」を試みると、とても興味深い。

②そもそも宇宙ステーションの中は高濃度の酸素で満たされていると思うので、火気厳禁。実験装置の中での燃焼実験であろう。

③地上で可燃物に着火すると、熱が発生して、空気の対流が起こり、酸素が供給され燃え続ける。無重力でろうそくに火をつけても対流が起こらず、「燃え続けることはない」、と推測できる。そういえばロケットなどのジェットエンジンは燃料と同時に酸素を供給し、爆発した時の推進力で飛行する。重力が無ければ、上に行くのも下に行くのも燃料が必要。

④宇宙空間での燃焼実験で、どのような技術が可能となるのか、しばらく「考えること」を楽しんでみたい。

⑤ついでに、日本の「はやぶさ」が竜宮の砂を持ち帰ったが、採取の方法がどうにも理解できないでいる。これも楽しみのひとつ。

2023.3.3. 少子化対策②

①3/1に少子化対策で奨学金補助を提案したが、自民党が同じようなことを言っているようで国会を賑わしている。

②私が珍しく自民党と意見が一致したような誤解を招きかねないので、ひとこと。けっしてポイントでマイナンバーを勧誘したような軽はずみな意見ではない。

③そもそも「奨学金」という「金貸し」で、社会に出たばかりの青年に数百万もの借金を負わせる制度そのものを許したところに問題がある。そんなことを言っても20代の相当数の若者が結婚・出産の足かせとして奨学金の返済を重荷として考えていることは確かで、今の適齢期の若者の気持ちを動かすためには最後の手段かとおもう。

④奨学金は、減免制度も含めて「返済可能」な額でなければならない。そのためには高等教育の教育費、特に授業料の検討が必要で、その奥には入学選抜制度から大胆な改革が必要と思う。

⑤というわけで、問題点は徐々に考えていくとしても、急場の少子化対策として奨学金援助を考えざるを得ない。自民党内がそこまで先を見通して企画しているか、野党を説得できるか、野党が理解できるかは、なはだ心もとない。

2023.3.2. マンホールカード

①マンホールのふたに、地方独特のデザインのものがあることは知っていた。松本は「てまり」図案で、市内のものはカラーだが上高地のものは無色である。
これを紹介する「マンホールカード」と言うものが発行されているという。全国で900種類を超えていて、新宿区の「ゴジラ」は観光案内所で無料で配られているそうだ。そのほかに、城カード・ダムカード・農カードなどがあるという。

②当然、収集マニアが現れ、マニアの組織のようなものに発展することは、自明。私も切手マニアであり、登った山を数えてひとり満足しているから、その気持ちは理解できる。先輩として、この様な趣味がみんなのものになる条件を整理してみた。

③単純には、全部集めてみようとするのがコレクターの性癖。種類が増えるとチャレンジ精神が掻き立てられる要因もある。旅行先のカードを集めて記念にするひともいるだろう。

④そこで、発行枚数と配布方法、ブームは世界に広まる可能性があるのである程度の枚数の発行が必要。しかし、他方で希少価値が生まれたり転売ヤーも当然出現する。
現地に行かなければもらえないとか、1人1枚とか工夫が必要。

⑤例:「風景スタンプ」:小学生のころ、郵便局で押してもらえる「消印」を集めていた。戦前からあったもので、戦時中は海外の占領地の郵便局にもあった。当時400局前後だったし、郵便での依頼にも応じてもらえた。図案も、それなりに工夫を凝らしたものだった。それが、我もわれもとなって今では10000局を超えている。当然質の低下がともなう。

⑥例:切手収集と言えば子供の遊びの中でトップクラスであった。グリコのおまけに切手をつけていた時代もある。それが民営化されてから、「記念」切手ではなくキャラクター中心の「切手」が多くなった。それも10種シートで。これでは子供の小遣いでは集めきれない。切手収集は世界の文化に触れる絶好のチャンスなのに。

⑦インターネットの時代に、マンホールカードがどのような成長を遂げるか。楽しみである。

2023.3.1. 少子化対策

①青年が結婚した時、返済中の奨学金の1年分を免除する。
②第1子が誕生した時、さらに1年分を免除する。第2子でさらに1年分。第3子で全額免除。(4年を限度)
③もちろんパートナーの分も同様に免除する。

④収入面で、結婚や子育てに躊躇する状況とともに、奨学金の返済が足を引っ張っている現状がある。

⑤不公平さがあるように思えるが、奨学金を受けていない学生はそれなりに学費を払えたわけだし、それに比べて20代前半で数百万円の借金を背負っている青年の救済が優先される。
未婚のひとは、既婚者と同等の給料を得ているわけだから、奨学金の返済の義務くらいは仕方ない。

⑥教育界が、経済的に恵まれた家庭が「有利」となるような仕組みになってしまっている。補助金を支給しても、塾に行っていたのが予備校に、家庭教師に変わるだけ。2人目が生まれると、教育費が半分になるような状況では、少子化を防げない。

⑦学生時代、国立大学の授業料が月1000円だった。友人は、2食付きの学生寮で頑張っていた。貧しくても、公立なら何とかなった。私も都立高校の教師となって、返済は免除された。誰でも高等教育を受けられる環境も理想だが、勉強を頑張れば安心して進学できる経済的な環境は欲しい。

⑧公立と私立の比較については、別稿に譲りたい。

 

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